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今回のコラムは、国土交通省の最新施策である「i-Construction 2.0」で求められる“建設現場のカイゼン”と、現場監督さんに向けて「i-Construction 2.0」によって建設現場に求められる内容ついて私見を述べます。
これに加え、建設現場のカイゼンに関わる新たな業務プロセス(私案)を提示します。
さらに、これら建設現場のカイゼンに役立つ弊社が扱う製品・ソリューションを紹介します。
●3元計測技術の活用・運用提案
●建設現場のカイゼンに向けた業務プロセスの検討・実践(例)の提案
●i-Construction 2.0への対応に役立つと考える『SiteOrchestration』
これと連携し稼働する『Trimble Siteworks MG』『Sitech VRS』『Trimble SiteVision』の活用提案
i-Construction2.0のねらいとは?
i-Construction2.0に至った背景
生産年齢人口の減少・推移
国土交通省から発表された資料によると(図-1参照)、日本の就業者はここ20 年で急速な高齢化が進行しており、特に建設業では、就業者に55 歳以上の占める割合が全産業平均より高い水準で増加傾向にあります。その一方で、就業者のうち29 歳以下の占める割合の増加は緩やかとされています。
建設現場で実務をされる現場監督さんは、建設・土木業界における目の前の課題と認識する「人手不足」「熟練オペレータの退職」「担い手不足」の問題について日々切実にお感じになっていると思いますが、その一方で、建設現場に対する要求は「インフラの老朽化」に伴う「労働力需要の拡大」「安全規制の強化」「各社との連携ニーズの増加」等々の大きくなっていると推察するため、日々、現場監督さんは頭を抱えているのでは?と想像します。

図-1 生産年齢人口の推移 ※1
気象災害の激甚化・頻発化
私事ですが、ラジオを聞いて天気図を描くなど学生時代から天気に興味がありました。しかし、最近の気温上昇や降水量は、この経験則から大きく外れた異常な場合が多く、その度に、『何か甚大な災害が近くで起こるじゃないの?』と不安を感じます。ここでは、あらためて、この気象災害について考えてみます。

写真-1 ラジオ天気図用紙(初心者用) ※2
気象庁から公表されている資料によれば、『日本の気候変動2025』に次の用語が定義されています。
●「地球温暖化」とは、人為起源の温室効果ガスの排出等によって地球の平均気温が上昇すること。(これは「地球温暖化対策の推進に関する法律」に準拠)
●「気候変動」とは、自然変動や地球温暖化が原因となって、気温や降水量などの気候の諸要素にもたらされる様々な変化のこと。
この気候変動は、第5回 ベテランズコラム「建設現場における『発生土のトレーサビリティ』で触れた盛土災害 のような予測できない災害を引き起こします。とりわけ建設現場の皆さんは、他人事とは思えない関心事になっていると想像します。そこで、あらためて日本で激甚化・頻発化しているとされる気候変動に伴う災害 ※3(以下、気象災害と標記)について確認していきます。
※3国土交通省 ハザードマップポータルサイト

図-2気候変動と大気・海洋の諸要素の変化※4
大雨
気象庁から公開された資料によれば(図-3~図-5参照)、日本での大雨の発生回数/年は有意に増加し、より強度の強い雨ほどその発生回数が増加する傾向があります。現在の「1時間降水量80mm以上」、「3時間降水量150mm以上」、「日降水量300mm以上」の雨は、1980年頃のそれと比べ約2倍になっています。

図-3 全国の1時間降水量50mm以上の大雨の年間発生回数の経年変化(1976~2024年)※5

図-4 全国の1時間降水量80mm以上の大雨の年間発生回数の経年変化(1976~2024年)※5

図-5 全国の1時間降水量100mm以上の大雨の年間発生回数の経年変化(1976~2024年)※5
※5気象庁,大雨や猛暑日など(極端現象)のこれまでの変化
土砂災害
国土交通省 砂防部から公開されている資料によると(図-6参照)、2024年の台風に伴う土砂災害発生件数は160件でした。土砂災害発生の内訳は、8月に東北地方に上陸した台風第5号で2件,同月に伊豆諸島に上陸し関東地方に接近した台風第7号で1件,同月に九州地方に上陸し四国地方を通過した台風第10号で157件だったとのことです。
また、年別の台風に伴う土砂災害発生件数は、移動平均/10年で観察すると、2004年~2013年で平均1,183件/10年に対し、2014年~2023年で平均1,499件/10年であり、1.3倍に増加しており、土砂災害の発生件数/年のトレンドは、増加傾向にあります。

図-6 土砂災害発生件数の推移(1982年~2024年)※6
このように、「より強度の強い大雨の発生回数/年」「土砂災害の発生件数/年」から、日本ではここ最近で気象災害が多発し、これら災害が今後もおさまる気配はないと考えます。
※6国土交通省 砂防部 令和6年の土砂災害
i-Construction 2.0が目指す将来 ~ i-Construction 2.0の目的や考え方 ~
あらためて、国土交通省が2024年4月に発表した「i-Construction 2.0~建設現場のオートメーション化~」※7について考えてみます。

図-7 i-Construction 2.0の目的や考え方※8
私が着目すべきと考える「i-Construction 2.0」のねらいは、『担い手の確保が難しくなった建設業が、これまで以上に少ない人数で仕事を遂行できるよう仕事のあり方そのものを変革すること』です。
※7国土交通省 大臣官房 参事官(イノベーション)グループ/国土交通省 大臣官房 公共事業調査室,i-Construction 2.0 ~建設現場のオートメーション化に向けて~ 2024年4月16日
※8国土交通省 令和7年度版 国土交通省白書 2025年6月24日
次に、i-Construction 2.0の推進によって『少ない人数で、安全に、快適な環境で働く生産性の高い建設現場』を実現するために設定された目標について考えてみます。
省人化(生産性の向上)
国土交通省が掲げた1つ目の目標が、『最低でも2040年度までに、2023年度と比較して、建設現場において3 割の省人化、すなわち生産性を1.5 倍以上向上することを目指す。』です。
これは、これまで社会資本の整備・維持管理などを担ってきた建設業は、エッセンシャルワーカーでもあるので、「生産年齢人口の減少(図-1参照)」や「災害の激甚化・頻発化(図-5、図-6参照)」などの環境下でも、今後も社会的使命を果たし続けるために設定された目標であると考えます。この目標達成を、建設現場の働き方改革を定着させつつ、建設現場で働く一人ひとりの生産量や付加価値を向上するには、建設現場のデータ流通で人手を介さず行うために「建設現場データのデジタル化」「建設現場の安定した通信環境」「建設現場データのクラウド共有」が必要だと考えます。

図-8 建設現場の省人化・生産性向上のイメージ※9
※9厚生労働省 労働災害統計
安全確保
国土交通省が掲げた2つ目の目標が、『建設機械の自動化や遠隔化により、人的被害が生じるリスク を限りなく低減し、人的被害を大幅に減らすことを目指す』です。
私が初めて建設現場の経験をした30年前から、建設現場は、複数の作業が並行して進行する輻輳状態となっており、かつ「人」と「建設機械」が共存共栄する作業形態でした。その当時から、人的被害のリスクをどうしたら下げられるかを、様々な立場の人が色々な側面で意見を交わしていたことを今でも鮮明に覚えています。当時の稚拙な私は、直感的に『建設現場を動き回る人がいなくならなければ…』と思いましたが、その実現方法は全くイメージできませんでした。
「建設機械」と「人」が絶妙なバランスで協調する今の施工方法は、個人的には「作業効率」と「危険回避」のトレードオフになる側面があると考えます。このため、建設機械に近接して人が行う、丁張りの設置・盛替えや検測の必要がなく、建設機械に近接して人が作業補助する必要がない『自律施工※10・自働操舵※11ICT建機』の実現・一般化させるとともに、建設現場内の『ゾーニング』の徹底、さらには、建設現場の立会によらない『建設現場の見える化』の普及も、近未来の建設現場には必要不可欠だと考えます。
※10自律施工ICT建機とは、ICT建機のロボット化を想定。
※11自働操舵ICT建機とは、ICT建機によるMC/MGを想定。
働き方改革と多様な人材の確保
国土交通省が掲げた3つ目と4つ目の目標が、『快適な環境下での作業など、働く環境※12の大幅な改善を目指す』と『時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方や、これまで以上に多様な人材が活躍できる場の創出を目指す』です。
建設現場で毎日働き続けていると、私だけかも知れませんが「息苦しい猛暑の中」「滝のような雨の中、合羽と長靴を頼りに」「手足の先が痺れる降雪へ」のような過酷な環境下や「夢見心地の早朝に」「体が溶けそうな日中に」「一日の重みが肩にかかる夕暮れに」のような制限された時間や場所が、建設現場の当たり前です。もちろん自然環境下で勤務される建設現場の皆さんのご苦労には頭が下がる思いですが、建設現場は目的構造物を現地に直接建設するため、これが常識となるのは至極当然なことです。それでも「建設生産プロセス全体のデジタル化」「建設現場で扱うデータをクラウドによって共有」により、建設現場のムダ※13をなくすとともに「人力に頼らなくても良い作業は原則ICTに任せる」「新たなコミュニケーションの取り方で、建設工事契約の双方双方での突発的な対応を低減する」を実現すれば、建設現場に多様な人材を迎え入れることができると考えます。
※12厚生労働省 国土交通省 関東地方整備局 建政部 建設産業第一課、建設業の働き方改革に向けた取り組み 2024年6月7日
※13国土交通省 第11回ICT導入協議会 資料-4 建山委員提出資料(リーンマネジメントの導入)資料 2020年8月5日
建設業における『新3K』の実現
国土交通省が掲げた5つ目の目標が、『多くの若者が、地図に残るものづくりに携わることができ、地域社会に貢献できる誇りとやりがいを感じる建設産業を実現』です。
労働条件が厳しい建設業を含む職業で言われ続けた「きつい」「汚い」「危険」の頭文字を取った『3K』から、新たな建設業のイメージを「給与がよく」「休暇が取れ」「希望がもてる」の頭文字を『新3K』に変えて、その定着を目指すものです。これまでの4つの目標を達成・維持することが、建設現場に対する『新3K』のイメージ定着に繋がると考えます。
建設現場のオートメーション化に向けた「トップランナー施策」
「i-Construction 2.0」の中核をなす取り組みとして、建設現場のオートメーション化に向けた「トップランナー施策」は、次の3本柱がその中心であると認識します。この3本柱は、「i-Construction 2.0」が「生産性革命元年」と位置づけた2016年から取り組んでいた「i-Construction」の取組を深化させた、更なる抜本的な建設現場の省人化に向けた施策と認識します。
① 施工のオートメーション化
② データ連携のオートメーション化
③ 施工管理のオートメーション化

図-9 建設現場のオートメーション化に向けたトップランナー施策※8
これら3つのオートメーション化について、それぞれ2024年から5 年程度の短期的なロードマップ,2024年から10年程度の中期的なロードマップ,2024年から15年程度の長期的なロードマップを想定し、これまで推進してきたICT 施工をベースに、次のような建設現場のオートメーション化を目指すことも発表しています。なお、これらの想定は、今後の技術開発状況等に応じて適宜見直すものと示されています。
●【短期的(2024年から5年程度以内)】建設現場のリアルタイムデータの活用
●【中期的(2024年から10年程度以内)】大規模土工など一定の工種・条件下での自動施工の標準化
●【長期的(2024年から15年程度以内)】大規模現場での自動施工・最適施工の実現
施工のオートメーション化(図-10参照)

図-10 施工のオートメーション化※8
私が使っていた教科書・参考書によると、施工の始まりは、竪穴式住居と習った竪穴住居や、幼少期によく訪れた登呂遺跡で見ることができる灌漑施設(写真-2 参照)が施工された『縄文・弥生時代』から、子供の時に少年漫画で覚えた前方後円墳が施工された『古墳時代』の間だとされています。
この時代には既に地質的に堅固な場所に安息角(図-11 参照)を考慮し、構造が安定した構造物を、現在の3次元測量システムにも通ずる「方割※14によってわかる3次元方向の起伏」「溝や木槽に張った水によってわかる水平面」「底辺と高さを使った三角法でわかる角度」を使って準備し、木製や鉄製の鋤(すき)や鍬(くわ)を使った掘削、負子※15や畚※16による掘削土の運搬、礫を敷き詰めて法面保護を施した葺石※17という生活と密着した「施工」を行っていたようです。
このように「施工」は、その時代の要請と人間の英知・工夫で、常に変化することが当たり前と考えます。i-Construction 2.0で実現を目指す「施工のオートメーション化」では、国土交通省が建設現場への普及を想定する『一人当たりの生産能力を向上するため、各種センサにより現場のデータを取得し、AI などを活用して自動的に作成された施工計画に基づき、一人のオペレータが複数の建設機械の動作を管理する』ために、建設現場に次に示すソリューションの導入を想定していると認識します。
● 自動施工に対応したICT建設機械
● 遠隔施工に対応したICT建設機械
● 建設現場のデジタル化・見える化ソリューション
● 生成AI施工計画ソリューション
よって、これらソリューションが建設現場で習練されるまで「施工」が変化し続けると考えます。
また、この過程においては、建設施工会社のマインド、建設現場の常識や普通、ここで働く人間の思考や思い込みが阻害要因にもなることが懸念されます。生産年齢人口減少下においても必要な施工能力を確保するためには、建設現場の柔軟性と変わる勇気が必要不可欠になると考えます。
※14片割(かたわり):地面に杭を打ち、縄を張って区画や形状を決定する計測手法のことで、現代の測量や建築の「墨出し」に近い概念。
※15負子(おいこ):重い荷物を背負って運ぶための地域に根差した運搬具の総称で、地域によって呼び方が背負子(しょいこ)。
※16畚(もっこ):縄・竹・蔓などを編んで作られた土砂などを運搬するための道具のことで、現代の「クレーンで資材を運ぶための吊り具」(ワイヤーモッコ,シートモッコ)の礎となった道具。>
※17葺石(ふきいし):主に古墳の墳丘斜面を覆うように敷きつめられた河原石や礫石のこと。墳丘の土砂流出を防ぐ役割に加え、墳丘の表面を装飾して荘厳さや威圧感を与えて被葬者の権威を示す役割もある。

写真-2 第1次調査発見時の登呂遺跡(住居や倉庫、水田の遺構)※18

図-11 安息角の力学背景(住居や倉庫、水田の遺構)※19
※18静岡市立登呂博物館 登呂遺跡のあゆみ
※19土木学会第53回年次学塾講演会 九州大学工学部 郭 珵敏ほか 砂質土の安息角とせん断抵抗角について 1998年10月
データ連携のオートメーション化(図-12 参照)

図-12データ連携のオートメーション化※8
私の実務経験が関与している建設生産プロセス(企画,設計,発注・契約,施工,完成・引渡し,維持管理・更新)では、各段階でこの関係者の経験・知識を結集して検討し、その成果を報告書、図面、打合せ簿など書類にまとめていました。このため、省人化(生産性の向上)を図る上でデータ連携に関わる問題点は、その後工程において、その前工程の成果を理解し、後工程の関係者が必要なデータを抽出し利用するのに人手を要する点です。
このためデータ連携のオートメーション化においては、2023年度より原則適用を開始したBIM/CIMをデータプラットフォームとして、建設生産プロセス全体で流通するデータをデジタル化・3次元化し推進し、必要なデータを導入されたシステム上で必要な時に加工できる形式で容易に取得できる環境構築が掲げられています。また、このオートメーション化によりペーパーレス,シームレスなデータ共有・連携が可能になれば、これまで発生していた、次に示すような建設現場のムダを削減可能になると想定されます。
● 同じデータを繰り返し手入力することを回避
● 不要な調査や問い合わせ、復元作業の削減
● 資料を探す手間や待ち時間などの削減
施工管理のオートメーション化(図-13参照)

図-13 施工管理のオートメーション化※8
『【第3回コラム】遠隔臨場』でも触れましたが、現在の直轄工事の立会、段階確認等の確認行為では、建設現場への移動時間や作業待ち時間の削減などが「発注者・受注者の協議」によってその必要性が認められれば、遠隔臨場の適用も可能です。
これに加えて、監督・検査を行う発注者側(国土交通省、地方公共団体)の職員は、建設現場以上に担い手不足の実態・懸念があると認識しています。この必要性から、国土交通省としてはデジタル化・リモート化(遠隔臨場)による確認行為の範囲を、検査にまで広げることを想定していると認識します。
さらに、施工管理のオートメーション化(リモート化・オフサイト化)により、さらに建設現場のムダを削減すると共に、建設生産プロセス全体のムダを削減するため、国土交通省が公開した資料によれば、将来的な中間技術検査、完成検査の自働化を含む、リモート監督・検査の実現を目指していると認識します。さらに、実現したいと想定されます。
これらの実現には、建設現場で取得された3次元座標点群データを、発注者・受注者間で共有・活用することが必要不可欠となり、次に示す環境整備もあわせて行うことを目指しています。
● 通信ネットワークの強化
● 日本全国を高速・大容量回線で接続
● 動画や3次元モデルなどの大容量データの円滑な利用
自治体発注土木工事へのICT施工の普及
県・市町村発注の土木工事におけるICT施工の実施状況
図14、図-15に示す国土交通省が公開した資料によれば、直轄土木工事のICT施工実施率は、公告件数の約9割で実施されています。しかし、都道府県・政令市では、ICT土工の対象工事が増えているものの、その実施率は約2割5分以下に留まっています。

図-14 2024年度における直轄土木工事におけるICT施工実施率※20

図-15 生産年齢人口の推移 ※20
i-Construction 2.0の推進によって『少ない人数で、安全に、快適な環境で働く生産性の高い建設現場』を実現」するためには、建設現場で3次元座標点群を扱えるICT施工と3次元計測技術が必要不可欠であると考えます。また、私見ですが、直轄土木工事だけでなく、都道府県・政令市が発注する土木工事、においてこれを実現することを目指すべきと考えます。
そこで、現状の都道府県・政令市が発注する土木工事におけるICT施工の実施状況を確認してみます。図-16に示す国土交通省が公開した資料によると、地域企業(以降、地域密着型建設業と記述します)とされるC、D等級の企業※21※22において、ICT施工を経験した企業も受注企業全体の約6割と着実に増加しています。
このような実態を踏まえると、地域密着型建設業に対して「施工のオートメーション化」の基盤技術であるICT施工(MC/MG)の普及促進と「データ連携のオートメーション化」と「施工管理のオートメーション化」の実現に必要不可欠な「3次元計測技術を用いた出来形管理要領 (案)」に適用できる3次元計測技術の普及促進に弊社は寄与すべきと考えます。

図-16 一般土木工事の等級別ICT施工経験割合(2016年度~2024年度の直轄工事受注実績に対する割合)※20
※20国土交通省 第21回ICT導入協議会 資料-1「ICT施工に関する状況報告」2025年6月27日
※21直轄工事では、企業の経営規模等や、工事受注や総合評価の参加実績を勘案し、企業の格付け(等級)を規定。
※22公共工事の入札で、C等級は『中小規模・平均的な技術力を持つ企業』、D等級は『小規模・新規業者などの企業』と一般的に評価され、企業が特定の地域に根差して(建設)事業を行っていることが示唆されます。
3次元計測技術の活用~「3次元計測技術を用いた出来形管理要領 (案)」のさらなる運用提案~
地域密着型企業が受注する工事(適用工種)
これまでの私の業務経験と交友関係に基づく意見交換実績などで得た肌感覚では、昨今の地方公共団体が発注する土木工事は、表-1に示す小規模な「道路維持補修」に分類される工事だと考えます。
また、国土交通省から公開された図-1に示す地方公共団体が発注した土木工事の工事種別によると、直轄土木工事の工事種別とはその傾向が異なり、水路・管路工事の割合が増加し、関連してアスファルト舗装工事の割合が増加している模様ですので、この傾向は、私が肌感覚から想定した小規模な「道路維持補修」に分類される工事と概ね一致していると考えます。
このため、i-Construction 2.0で目指す、その実現を目指す建設現場のオートメーション化に向けた「トップランナー施策」は、都道府県・政令市が発注する土木工事、いわゆる地域密着型建設業が受注する土木工事に対してはその前段階にあると認識していますが、本コラムにおいて記述する、地域密着型企業が抱える課題解決に向けて業務プロセスの検討・実践は、私見ですが早期に行うべき対応であると考えます。



図-17 地方自治体工事の発注工事種別※24
※24国土交通省 第22回ICT導入協議会 資料-2「中小建設業への普及促進方策について」 2026年2月25日
建設現場が抱える課題解決にむけた業務プロセスの私案
ここでは、建設現場が抱える課題解決(特に、地域密着型建設業が抱える課題解決)に向けての省人化を目指した業務プロセスの検討・実践(案)成果として、業務プロセスにおける積極的なデータの利活用(私見)と「3次元計測技術を用いた出来形管理要領 (案)」の活用を併せた業務プロセス(案)を図-18に示します。
この業務プロセス(案)では、データ連携のオートメーション化に貢献する「ICT施工(MC/MG)の3次元モデル」と「project PLATEAU 等のオープンデータ」の利活用を前提条件に、施工管理のオートメーション化の実現に必要と考える3次元測量技術による「3次元座標点群データ」の利活用を図れるよう作成しました。この他に想定した内容は、次の通りです。
● 建設現場に導入されたICT建設機械(MC/MG)と、3次元座標群の取得が可能な3次元計測技術の現場稼働率を上げる目的で、施工履歴データを取得するICT建機,3次元座標点群を取得する3次元計測技術による建設現場の測量・計測を繰り返し実施すること。
● 建設現場から得られるそれぞれのフェーズにあった最新の施工データの活用すること。
● 業務プロセスの各フェーズで、その前後フェーズで作成・取得された施工データを利活用すること。
なお、この実現には、各段階の目的を達成できる機能を有する製品を準備し、各段階間のデータ連携を図ることが必須で、これを怠ると新たな建設現場のムダが発生すると想定しています。

図-18 提案する“建設現場のカイゼン”の実施フロー
i-Construction 2.0の達成目標に貢献する建設現場の”カイゼン”提案
建設現場と建設現場事務所の間での『SiteOrchestration ONE』のカイゼン
弊社は、日本におけるi-Construction※25市場の急速な活性化に伴う建設業界のさらなる発展を目的として、世界中の建設現場で稼働しているTrimble製品などを日本で単純に展開するだけでなく、i-Constructionと共に加速する建設現場のICT,IoT衛星を利活用した製品・ソリューション(『フィールド ソリューション』と『オフィス ソリューション』)を提供しています。ここで図-18に弊社が取り扱う製品が稼働する建設現場の概念図を示します。
『フィールド ソリューション』※26
● Trimble Earthworks(土工MC/MGプラットフォーム)
● SiteCompactor(締固め管理ソフトウェア)
● Trimble Roadworks(舗装工MC/MGプラットフォーム)
● Trimble Groundworks(掘削・杭打ち・締固めMCプラットフォーム)
● Trimble Siteworks MG(GNSS測量システム/MG)
● Trimble Siteworks(GNSS測量システム)
● SiteMeasure(TS出来形管理要領対応コントローラソフト)
● Trimble SPS930 / SPS730(ユニバーサル トータルステーション)
● Trimble SPS620 / SPS720(ロボティック(遠隔操作式)トータルステーション)
● Trimble SX12(スキャニングトータルステーション)
● Trimble SiteVision(屋外型拡張現実AR)
『オフィス ソリューション』※27
● Trimble Business Center(3Dモデリングソフトウェア)
● Trimble SketchUp(3Dデザインソフトウェア)
● Trimble WorksOS(施工履歴クラウド アプリケーション)
● Trimble WorksManager(建設クラウド プラットフォーム)
● Trimble Stratus(ドローン3D分析・管理クラウド アプリケーション)
● Trimble Connected Community(建設情報共有システム)
※25i-Constructionとは、国土交通省が推進している「ICTの全面的な活用(ICT土工)」等の施策を建設現場に導入することによって、建設生産システム全体の生産性向上を図り、もって魅力ある建設現場を目指す取組のこと。
※26GNSS、TS、TLS、ドローン などの各社の測量システムや各社の建設機械用システムが該当する建設現場で稼働するソリューション
※27事務所で稼働する各社の 3Dモデリングソフトウェアや各社のクラウドアプリケーション

図-19 建設現場で稼働する「フィールド ソリューション」と「オフィス ソリューション」の概念
これらの様々なソリューションは、直接的に関わる施工・作業単体の省人化・効率化は図れていましたが、理想とする建設生産プロセス全体のさらなる省人化・効率化を高めるための機能が残念ながら不足していました。つまり、部分最適解として建設現場の省人化・効率化は図られるものの、全体最適解を実現できませんでした。
そこで「建設現場に関連する各事務所と建設現場」の間をつなぐ連携を果たす『エコシステム』全体 を『SiteOrchestration ONE』と名付けてその上で、これら「フィールド ソリューション」と「オフィス ソリューション」の垣根を超え、建設生産プロセスに関与する全ての 『ヒト』『モノ』『コト』を連携できるクラウド ソリューションの開発を進め、『SiteOrchestration(以下、Sオケ(えすおけ)と標記)』を2026年4月に販売を開始しました。
なお、Sオケは、オーケストラが組織化・編成・編曲して調和を奏でるように、建設現場のあらゆる作業プロセスに調和をもたらすといったイメージが語源です。
ちなみに、弊社の取扱製品に馴染みがある方には、『Trimble WorksManager』と『Trimble WorksOS』に『Trimble Business Center』の機能を追加し、その上で国土交通省から適宜公開された各種要領(案)に対応させたクラウドアプリケーション」と説明した方が、Sオケの機能が簡単に理解できるのではと想定しています。
Sオケの開発コンセプトと特徴
Sオケの開発コンセプト
弊社では、建設生産プロセスに関わる「現場事務所から建設現場」「建設現場から現場事務所」「建設現場から本社事務所」「建設現場から発注事務所」「発注事務所から建設現場」といった『ヒト』『モノ』『コト』の間の連携の重要性に着目していました。この連携をいち早く実現するソリューションを提供することが、建設現場で役立つと想定していました。
これを受けて、Sオケの開発コンセプトは、部分最適化されている『建設現場のIoTシステム』同士を繋げながら「建設生産プロセスを一貫して利活用できる環境構築」を目指すことを設定しました。この実現によって、工程・品質・安全が充実した「建設の未来」の実現を支援する、これからの時代に合わせて深化を続ける「建設DXプラットフォーム」が完成するとの考えにいたりました。ここで、Sオケの導入によって実現する建設現場の連携を、図-20に示します。
① システム間のデータ連携→ SオケとICT施工をシステム間でシームレスに繋ぐ
② 作業プロセス間の連携→ 施工管理業務の作業プロセスをプラットフォームで繋ぐ
③ 現場と遠隔地との連携→ 現場の状況を遠隔地で繋いで見える化・効率化を図る

図-20 Sオケを建設現場に導入することで実現するレンケイ概念
Sオケの特徴
Sオケは『建設現場のIoTシステム』同士を繋げるプラットフォームであり、多様な「フィールド ソリューション」や「オフィス ソリューション」が連携するために、建設生産プロセスを効率化し、建設生産プロセスを高度化するエコシステムの中核として重要な役割を担っています。
このためSオケは、建設現場のデジタル化を支援し、前掲した図-20に示すように、オフィスとフィールドを包括した『データ共有プラットフォーム』であり、かつ『SaaS型サービス』です。
このため、安定した通信環境が整った建設現場で稼働しているICT建機や3D測量システムから、建設現場へ行かずに直接、現場事務所のパソコンでデータを収集・演算・分析・処理することが可能になります。これで、建設現場で実務が忙しい現場技術者に依存することなく、現場事務所に詰めている別の技術者が演算・分析されたデータに基づく施工管理が行えます。
また、Sオケを使用する作業は、その操作方法をマニュアル化としているため、これに従うことで誰でも同じ作業手順で同程度の手間(人工と時間)により実施できます。さらに、Sオケが直感的に操作できる UI を採用しているため、その操作性にも優れます。
なお、Sオケは、ユーザー数や使用するデータ量に応じて柔軟に対応できる拡張性を有しています。

図-21 Sオケによって実現される物理世界とデジタル世界との連携の概念
作業プロセス間の連携(3次元測量技術とのデータ連携)
「3次元計測技術を用いた出来形管理要領 (案)」に規定される3次元測量技術では『3次元座標点群』を取得します。このデータは、これまで測量技術により計測され、野帳などに記録され転記してきた『測量名称と幅,長さ,標高の組合せ』とは異なり、人手で記録,転記することは非常に大変です。
Sオケは、図-22、図-23に示すように、3次元測量技術とのデータ連携が可能です。
2026年4月に販売を開始するSオケには、表-2に示すデータ形式のファイルにより、具体には「GNSS移動局(GNSSローバー)※28」「トータルステーション(TS)※29」「地上型レーザスキャナー(TLS)※30」とのデータ連携機能と、スマホ搭載型「LiDAR※31」とのデータ連携機能を有しています。さらに、図-24に示すスマホ搭載型「AR」などで取得した相対形状を、3次元座標点群に変換するための標定点との位置合わせ機能※32も有しています。

図-22 Sオケによる3次元測量技術とのデータ連携の概念

図-23 ICTデバイスの接続状況

表-2 インポート可能なデータ形式

図-24 標定点(『TLS』を用いた出来形管理の一例)
※28GNSS移動局(GNSSローバー):単点観測法で用いるGNSS受信機を備えた計測機器。
※29トータルステーション(TS):TSは トータルステーション(Total Station)の略。1台の機械で計測対象点を望遠鏡で視準することにより、角度(鉛直角・水平角)と距離を同時に測定することができる電子式測距測角儀のことである。計測した角度と距離から未知点の座標計算を瞬時に行うことができ、計測データの記録及び外部機器への出力ができる。標定点、検証点、標定点調整用基準点の座標取得、及び実地検査に利用される。
※30地上型レーザスキャナー(TLS):地上型レーザースキャナー(Terrestrial Laser Scanner)の略。三脚等を用いて地上に設置したLS。
※31LiDAR: LiDARは「Light Detection And Ranging」の略。レーザー光を照射して、その反射光の情報をもとに対象物までの距離や対象物の形などを計測する技術。
※32「TLS(地上型レーザースキャナー)」「LiDAR(レーザー検知・測距/レーザー測距)」「写真測量(画像測量)」を用いた出来形管理を行うためには、取得した点群データを、計測後に標定点で3次元座標点群に変換する必要がある。なお、標定点との位置合わせとは、標定点で現場座標系に位置・スケール・方向を合わせること。
作業プロセス間の連携(3DMC/3DMGとのデータ連携)
2025年度から直轄工事における土工と河川浚渫工において、発注者指定型によるICT施工(3DMC)が基本となる「ICT施工の原則化」※33が開始されています。
これは私見ですが、ICT施工(3DMC/3DMG)は「建設現場の省人化・生産性向上」の一つの有効な手段だと考えます。これは、ICT施工(3DMC/3DMG)において「①ICT建設機械(3DMC)が作業機装置の動きを制御する、あるいはICT建設機械(3DMG)が作業機装置の動きを数値で評価する」と「②作業指揮者や、丁張りの設置・盛替え、検測のための作業員と誘導者が、ICT建機に近接する必要がなくなるため、ICT建設機械による施工を中断させないこと」がこれの主な要因だと捉(とら)えています。
これに加えて、ICT建設機械(3DMC/3DMG)とSオケを併せて現場導入することは、図-25、図-26に示しますように、ICT建設機械(3DMC/3DMG)とSオケとのデータ連携(API※34連携)が可能になるため、3次元設計データや施工履歴データを読込み・取出しするために、建設現場まで人が行く必要がなくなるといったメリットも得られます。
なお、最初にリリースしたSオケでは「Trimble Earthworks」「Trimble Siteworks MG」とのデータ連携が可能です。また、この施工履歴データは、ICT施工時に適宜クラウドサーバにアップロードされます。このため、ICT施工が中断する夜間であっても、現場事務所のパソコンで、施工履歴データの演算・分析が可能です。

図-25 SオケによるICT建機(MG/MC)とのデータ連携の概念

図-26 取り込み対象となるICT建機で取得した施工履歴データ(3次元座標点群)
※34API(Application Programming Interface)とは、ソフトウェアやアプリケーション間で情報をやり取りするための仕組みのこと。あるソフトウェアが別のソフトウェアの機能やデータを利用するための「窓口」や「インターフェース」のようなもの。一般的な「API連携」とは、ファイルベースのやり取りにとどまらず、他社の施工計画などのシステムとAPIでデータのやり取りを含んでいる。
現場と遠隔地との連携(見える化)
国土交通省では、直轄工事で監督職員が行う各種確認行為である非接触・リモートで行う「遠隔臨場」を本格的に2024年度から実施しています。この「遠隔臨場」の必要性・有効性は、くしくも未曾有(みぞう)の事態であったコロナ禍に証明されました。
一方、私見ですが、監督・検査のフェーズで行われる「建設現場の立会」は、発注者側の立場からの視点で「給付の完了の確認」行為であることは十分理解できるのですが、立会当日は「建設現場全体が何かそわそわし緊張感が漂う非日常」と感じるだけでなく「建設現場に臨場する人の数が普段より多い」印象があり、以前から「建設現場の省人化・生産性向上」の観点で改善の余地があると考えていました。さらに、この「遠隔臨場」は、監督職員が行う「遠隔臨場」だけではなく、社内巡視(安全巡視)や社内検査にも応用できると考えます。
このため「ICT施工(3DMC/3DMG)」と「遠隔臨場」を実施する建設現場では「建設現場とは離れている、発注事務所や、建設施工会社本社・現場事務所などに居ても、必要な時にはいつでも建設現場の施工状況(建設現場の進捗)を見える環境整備」が必要だと認識します。
また『【第6回】建設現場においてICT施工で、生産性向上を達成するには!?』でも触れていますが、図-27に示すように、ICT 施工の次なる段階「ICT施工 stageⅡ」で国土交通省がその実現を目指している『Iot やデジタルツイン等を活用し、建設現場のリアルタイムな工程改善、作業と監督検査の効率化を図り、抜本的な生産性向上を実現』と『現場マネジメントの合理化』※35※36を目指しています。
Sオケは、図-28に示すように、施工進捗を視覚的に確認するだけでなく、その施工数量を定量的な数値やグラフ化することで、その分析をし易くしたダッシュボード画面に集約させており「切土・盛土領域の施工進捗の見える化」と「全体工程に対する工事の進捗具合の見える化」が実現できます。
また、全ての建設工事関係者がSオケを利用すれば、それぞれの目的のため、場所や時を選ばず自由に、これら2つの見える化(視覚的かつ定量的な確認)も実現できます。

図-27 ICT施工は次の段階へ※37

図-28 遠隔地から建設工事の進捗確認(3D ビュー)の確認画面(例)
※35大臣官房 参事官(イノベーション)グループ 施工企画室「データ活用による現場マネジメントに関する実施要領(案)」2024年3月
※36大臣官房 参事官(イノベーション)グループ 施工企画室「「データ活用による現場マネジメント」に係る機器等技術に関する参考例示資料ver.1.0」2024年3月22日
※37国土交通省,第16回ICT導入協議会 資料-3「ICT施工の普及拡大に向けた取組」2023年3月20日
※38各デバイスとは、SOKとデータ同期を行う通信機器または通信機材のこと。
Sオケの機能
Sオケの導入で、これまでの建設現場より、スマートに実施することを目指して開発した機能について説明します。
「ASSET アセット」機能
この「ASSET アセット」機能は、図-29に示すように、Sオケを利用する建設施工会社に紐づく、図-30に示す現場設定を基本として、自社で保有するデバイス※38だけでなく、レンタル・リースしたデバイスを含む、建設現場で稼働する全ての『ICT建設機械』『3次元測量システム』のデータや『建設現場の従事者』のデータを登録・管理する機能です。
この機能で登録した図-31に示す各デバイスのデータに基づき、建設現場と遠隔地とのデータ連携が可能になります。

図-29 建設現場、使用機材、従事者の登録・管理の操作画面(例)

図-30 現場設定の操作画面(例)

図-31 『ASSET』機能で登録管理するICTデバイスの操作画面(例)
さらに、ICT施工 等で建設現場に設置・管理が必要となったGNSS基準局に図-28に示す『Trimble IBSS』を利用する場合は、図-33に示す機材マスターにおいてIBSS基準局として登録することで、図-34に示すように建設現場で稼働する全てのIBSS基準局が確認できます。
この『Trimble IBSS』は、RTKーGNSS補正情報をインターネット経由でICT建設機械などに提供するので、RTKーGNSS基準局をインターネット環境が整うパソコンの設置場所(現場事務所など)に設置・管理することで,建設現場にRTKーGNSS基準局を設置・管理する必要がなくなります。
このため『Trimble IBSS』を利用する場合は、これら現場作業の省人化が図れるとともに、例えばRTK-GNSS補正情報がICT建設機械など、安定的で容易に入手可能といった、通常のRTKーGNSSやVRS方式のRTK-GNSS基準局では得られない利便性が得られます。さらに『Trimble IBSS』は、これに加え、RTK-GNSS基準局を設けた現場事務所から30km範囲にある複数の建設現場で、RTK-GNSS基準局を共有できるため、各建設現場に配置が必要な『Trimble IBSS』の管理者を省人化可能です。

図-32 Trimble IBSSの概念

図-33 機材マスターの操作画面(例)

図-34 IBSSサービスに登録したGNSS基準局の管理画面(例)
ASSIST 施工支援」機能
「現地踏査支援」機能
ここで、あらためて「建設生産プロセス」全体を考えますと、一般的な「建設生産プロセス」の流れは「①(発注者による)立案・計画」「②(発注者による)予算化」「③(発注者による)設計・積算」「④(発注者・請負者の双方による)入札・契約」「⑤(請負者による)施工」「⑥完成・(発注者による)検査」「⑦(発注者への)引渡し」の順だと理解しています。
この「建設生産プロセス」でデータを繰り返し登録・利用・更新できれば、現実的にはそう簡単ではありませんが、DXの達成、あるいは組織の変革を促す“持続的プロセス”の実施ができたと考えます。
また、これをイメージした提案が、前掲した図-14です。この意味で前掲した図-14に示すフローのように、建設生産プロセスで繰り返し登録・利用・更新されるデータをSオケにより積極的に利用することが“建設現場のカイゼン”に向けた一つの道筋になると考えます。なお、Sオケは、図-35に示すように、建設現場で扱われる各種3次元座標点群がインポートできます。
ちなみに『【第5回】建設現場における「発生土のトレーサビリティ」確保に向けて』で触れていますが2022年3月に発生した大規模な土石流災害では、地方自治体が保有していた「オープンデータ」を「崩壊した盛土量」の早期可視化と、迅速な災害復旧に向けた初動対応に結びつけた革新的な取り組みでした。

図-35 データのインポート
「Design Review設計照査」機能/「EDITING 点群編集」機能
「設計照査」は、対象工事の施工者が「契約」前や「契約」後に行う「起工測量」の後に「設計図書の精査」する作業です。この「設計照査」後に誤りや不備が見つかった場合は、発注者への報告・協議する必要があると認識します。
私見ですが「設計照査」で最も人手と手間を要する作業が「設計図面の照査」であると考えます。「設計図面の照査」は、主として、工事着工前に「現況地形」を取得する“起工測量の後”と施工進捗に伴い「施工中の出来形地形」といった現場状況の変化に応じて実施するもので「設計図面」と「現況地形」の比較・評価には熟練作業員のような習熟度が必要で、手間が必要な作業でした。
このような場面で取得した「3次元座標点群データ」には、建設機械や植生など「起工測量」や「施工管理」に不要なデータが数多く写り込んでいます。これまでは、これらノイズとなる不要なデータは、これまで点群データが扱えるアプリケーションの機能を用いて、手作業で除去しなければなりませんでした。
Sオケには、図-37に示す「点群編集」(ジオリファレンス、分類、間引きなど)機能を有しています。AIにより「3次元座標点群データ」を建物や建設機械、植生などを自動的に判別して分類することができます。この機能により、必要な段階で「3次元座標点群データ」の処理作業を省人化することでき、作業効率を格段に向上することが可能になり、誰でも簡単に短時間で実施できます。
Sオケは、図-36に示すように、Sオケは、3次元起工測量の結果を取り込んで可視化し、容易に現況地形を確認することが可能です。また、図-37、図-38、図-39に示しますように、各測量した段階の「現況地形データ(3次元座標点群データ)」と「3次元設計データ」とを重ね合わせて断面表示し、視覚的に分かり易く3次元で確認することすることができます。これは、前述したi-Construction 2.0の施策(建設現場のオートメーション化に向けた「トップランナー施策」)である2024年から5年程度以内に達成を目指す建設現場のリアルタイムデータの活用に対して有効だと想定しています。

図-36 3次元起工測量の操作画面(例)

図-37 点群データ処理(3Dビュー)の操作画面(例)

図-38 3次元設計データ作成の操作画面(例)

図-39 3次元設計データによる設計照査の操作画面(例)
「Creation and Utilization of 3D Design Data3次元設計データの作成・利活用」機能
2023年度から直轄工事 等で原則適用が始まっているBIM/CIMの実施方針※39に示されるように、2025年9月現在も、施工者が建設現場などで3次元モデルを作成し、建設工事関係者で3次元モデルを活用することが求められており、2027年度以降に3次元モデルが契約図書として正式に導入される方針※40とのことです。このため、現状では、熟練者が専用CAD を用いて、設計図書(線形計算書、平面図、縦断図、横断図)を見て、必要な数値を判読・入力、または演算しなければなりません。
Sオケは、図-40に示す『Sオケにインポートした3次元設計データの編集』機能を有しています。具体的には、Sオケには図-41に示す『最新のオートメーション化された3次元設計データの調整機能』も有しており、この機能により『設計法面を(起工測量で取得した)現況地形面データに自動計算で擦り付け』および『この際にあらかじめ土工定規(横断面形状)の入力を行うことで、所定の高さに自動的に小段を配置』が可能となります。
また、特にSオケでは『3次元設計データの調整』機能として、図-42に示す3次元設計データ作成初期段階で、横断図に示される標準横断面図(土工定規,各施工段階完了時の完成形状)に基づき、3次元設計データを平面方向にリフトスライスする『指定した敷均し高さの層を自動作成』機能も有しています。これらのSオケの機能により、熟練者が数日かけて行っていた3次元設計データの作成および利活用作業を、誰でも簡単に短時間で作成できるようになると想定しています。

図-40 3次元設計データの作成の操作画面(例)

図-41 3次元設計データの自動作成(地山との法線擦り付け/小段作成)の操作画面(例)

図-42 3次元設計データの利活用(ICT敷均し/ICT締固め用設計データの作成)の操作画面(例)
※39国土交通省 技術調査課,直轄土木業務・工事におけるBIM/CIM 適用に関する実施方針 2023年3月
※40国土交通省 大臣官房参事官(イノベーション)グループ/第14回 BIM/CIM推進委員会 資料-1、BIM/CIMの進め方について 2025年6月17日
「DASHBOARD 進捗管理」機能
建設現場における「工事進捗」の確認方法は、工事対象とする土構造物の寸法を測量、あるいは数量を測定した上で『出来形管理図表』を作成し「進捗率」を算出(契約図書との照合)する方法が一般的だと認識します。また、監督職員への「工事進捗」の報告は、主として定期的に『工事の進捗報告書(週報・月報)』の提出によるものであり、これに加え、監督職員が建設現場に立会し、(「中間検査」や「出来形確認」「品質検査」のフェーズ 等に)「施工状況」や「工事進捗」を直接確認する方法が一般的だと認識します。
Sオケには、図-43に示す『DASHBOARD(ダッシュボード)』に「施工履歴データ」などの「3次元座標点群」を用いて算出した『工事進捗』を表示する機能を有しています。
この『DASHBOARD』で提供する『①累積の進捗状況(日/週/月ごとの数値)』『②平均出来高(日々の施工土量から算出される日/週/月ごとの平均出来高数量)』『③進捗率(工事全体の施工土量に対する現在の進捗と残土量を算定し、円グラフと数値で提供)』『④施工数量グラフ(目標進捗率とそれに対する実績を日々/累積の2種類のグラフで提供)』『⑤進捗マップ(取得した施工履歴データと設計データを比較し、施工した範囲をヒートマップで提供)』により、現場進捗の判断を支援します。

図-43 遠隔地から建設工事の進捗確認(ダッシュボード)の確認画面(例)
「3D VIEARTHWORKS スリーディービュー」機能
建設現場における「出来形・出来ばえ」の以前からの確認方法は、工事対象とする土構造物の寸法を計測した上で『出来形管理図表』を作成し「設計寸法との差分」を算出(契約図書との照合)する方法でした。これに加え、建設現場の省人化が図れる「3次元計測技術を用いた出来形管理要領 (案)」に規定される、工事対象とする土構造物の面的な3次元座標点群データを計測した上で「出来形合否判定総括表(ヒートマップ)」を作成する方法があります。
Sオケには施工時のICT建機(MC/MG)の作業機装置(バケット,ブレード,…)の3次元座標点群データ(図-44に示す施工履歴データ)をオートマティックに受信し、いつでも、どこでも施工現場の進捗状況を視覚的に確認する機能を有しています。この施工履歴データ、あるいは3次元計測技術で取得された3次元座標点群データをクラウド上で処理し、図-45に示す出来形合否判定総括表(ヒートマップ)を作成することが可能です。
このように、Sオケにはこの利用者が希望する自由な視点で表示する『3Dビュー』だけでなく、これを上から見た描画にするモード『ヒートマップビュー(2Dビュー)』,図-46に示す任意の2点指定による任意断面と線形による測点指定の横断面が図化されるモード『横断面管理ビュー(2Dビュー)』があります。これにより、建設現場や現場事務所など自由な場所で「出来形・出来ばえ」を確認できます。

図-44 施工履歴とは

図-45 出来形合否判定ヒートマップ作成(3Dビュー)の操作画面(例)

図-46 3Dビュー/2Dビューの表示画面(例)
また、省人化を目指した建設現場においては、様々なICT建設機械(3DMC/3DMG)が稼働することが想定されます。これまでは、それぞれのICT建設機械の施工履歴データは、各社のシステム、クラウドで確認することが通常でした。しかし、建設現場の省人化(生産性の向上)を目指す上では、どの施工履歴データであっても一元管理し、リアルタイムで建設現場全体の進捗状況を把握したいはずです。
このため、現在も国土交通省を中心として各業界団体で進める日本建設機械施工協会が進める「施工データのAPI連携に関する協議会」にて、施工データの標準化を検討しています。
この標準化が進めば、異なるメーカの施工履歴データは、一元管理しリアルタイムで現場全体の進捗状況を把握することが可能になります。また、この協議会が実施した実証実験にて、Sオケで異なるメーカの施工履歴データを合成、断面表示などによる確認で、規格値をおおむね満足することを実証しています。
Sオケは『SaaSサービス』であり、適宜その機能は適宜追加・更新可能です。このため、施工データの標準化がなされれば、今後その対応の機能を適宜追加する予定です。
「MEASURE 計測」機能
建設現場における施工指示などの際に、建設現場の定量的な数値・数量が必要になる時があります。
このため、Sオケでは、施工履歴データ、あるいは3次元計測技術で取得された3次元座標点群データから点間距離や面積・堆積等の各種計測を行うことができます。
図-47に示す点群任意断面計測、横断面計測機能とは、『測任意断面や線形からの横断形状を表示』、『設計形状と現況地形を可視化し標高較差を表示』するものです。

図-47 計測の操作画面(例)
「REPORT レポート」機能
建設現場において、適切なタイミングで適切な指示を出すためには、定量的な施工状況データに基づく「速やかな施工状況の判断」が必要不可欠だと考えます。
このため、Sオケにはこの判断の支援を目的とした『レポート』機能を持っています。この『レポート』機能は、各種演算方法による土工数量計算や、出来形管理帳票作成などが行えます。
図-47に示す『土工数量レポート』は、面(点群)と面(点群)または基準高さと面(点群)を比較して土工数量を算出して帳票出力する機能です。ICT建機の稼働位置と、その施工進捗を確認するための『切盛ヒートマップモデル』を出力することも可能です。
図-48に示す『日々の出来形レポート』は、施工履歴データを用いて「日々の出来形」を評価するための帳票出力する機能です。
図-50に示す『出来形合否判定総括表(出来形の規格値に対する評価を示す2次元ヒートマップ)』は、設計データと出来形計測データを比較し、出来形合否判定総括表を作成・出力する機能です。この帳票作成時にヒートマップモデルも作成できるため、このデータをARシステムに取込んで立会検査に活用することも可能になります。
建設現場のオートメーション化に向けた「トップランナー施策」で示した2024年から5年程度以内に達成を目指す建設現場のリアルタイムデータの活用に対して、Sオケは有効な手段であると考えます。

図-48 土工数量レポートの操作画面(例)

図-49 日々の出来形レポートの操作画面(例)

図-50 出来形合否判定総括表の確認画面(例)
ここから、『建設現場のリアルタイムデータの活用』への観点で、Sオケと連携する『フィールド ソリューション』について説明します。
建設現場での『Trimble Siteworks MG』の活用
Trimble Siteworks MGは、図-51に示すように3次元計測技術の一つであるGNSSローバー(Trimble Siteworks)を使ったICT建機(MG)のことです。これの機器構成のイメージを図-52に示しますが、GNSSローバーを建設機械に設置して、オペさんがコントローラに表示される画面を見て操作するマシンガイダンスシステムのことです。Trimble Siteworksの特徴は、GNSSを使った現場向けのソフトウェアで、1つの受信機・1つの端末で3次元計測とICT施工(2DMG)の2way仕様であることです。
● 現場測量(出来形・丁張レス計測)
● 杭打ち・位置出し
● マシンガイダンス
● 簡易施工管理
Siteworks MGでは、コントローラから次の情報をオペレータに提供します。
● 現在位置が、設計面まで あとどれだけ掘る/盛る必要があるのか
● 現在位置が、設計線から左右どれだけ差異があるのか
● 設計断面と現在位置の関係
● 勾配・法面の目安
『Trimble Siteworks』では、Sオケ(クラウド)を介して「設計データ」や「観測データ」を共有することができます。『Trimble Siteworks MG』で使用する「設計データ」もクラウドから簡単にダウンロードすることができ、急な設計変更があった場合でも新しい「設計データ」に速やかに切り替え可能です。
さらに、リモートアクセス機能によって、施工中のコントローラの画面を閲覧・操作することもできます。遠隔でのトラブル対応だけでなく、新人教育など様々な場面で活用していただくことが可能です。

図-51 測量作業とICT施工の両方で機材を共用できる「Two in One」の活用イメージ

図-52 「Trimble Siteworksマシンガイダンス」の機器構成イメージ
建設現場での『Sitech VRS』の活用
Sitech VRSは、GNSSを用いた高精度測位のための「VRS方式」をTrimble社製サービスを弊社が提供している測位運用・サービスのことです。
VRS(仮想基準点方式)とは、図-53に示すように、全国に設置された複数の電子基準点(固定局)データをネットワークで統合し、利用者の近くに「仮想的な基準局」があるかのような補正情報を生成・配信するGNSS測位方式です。これにより、現場に物理的な基準局を設置しなくても、センチメートル級(約2~3cm)の高精度測位が可能になります。その運用の中でSオケ・クラウドを介してVRS方式の補正情報が利用できます。
● Trimble GNSS受信機でのVRS測量・施工運用
● 各種VRS配信サービスへの接続設定
● Trimble Siteworks / Earthworks などでのVRS運用環境
このSitech VRSの特徴とメリットは、次の通りです。
● Sitech VRSは、ネットワーク型RTK-GNSSに分類される
● Sitech VRSは、RTK-GNSS基準局の設置が必要なく、GNSS補正データをインターネット経由で取得するため、移動局1台で運用可能。
● 短距離基線のRTK-GNSSでは苦手とされる長距離基線の測量を可能とする
● RTK-GNSSと同程度の測位精度(測位精度は、水平・高さ方向とも数cm精度)
● このネットワーク型RTK-GNSS測量は、観測に含まれる誤差を電子基準点のリアルタイム観測データ等を利用して補正する。ネットワーク通信圏内であれば全国で利用可能
● 省力化:基準局設置・管理の手間を削減

図-53 ネットワーク型RTK-GNSS(VRS(仮想基準点)方式)の特徴※41

図-54 VRS 方式の概念※42
※41国土地理院「GNSSを使用した測位のいろいろ」
※42国土交通省 国土地理院「ネットワーク型RTK-GNSSを利用する 公共測量作業マニュアル(案)」2005年6月
※43国土交通省 第22回ICT導入協議会 資料-1「トップランナー施策等について」2026年2月25日
建設現場での『Trimble SiteVision』の活用
『Trimble SiteVision(図-55参照)』は、i-Construction 2.0の施策である施工管理のオートメーション化(前掲の図-13参照)の具体的な手段です。現在、移動性を重視するハンディタイプ(利用できるデバイスがAndroid あるいはiPhoneスマートフォン)と高精度位置情報の取得が可能でポールタイプ(利用できるデバイスがiPad などの iOS)の2つの用意があります。
この『SiteVision』は、Sオケでアップロードされた3Dモデルや図面等の設計データを「高精度GNSSアンテナ」と「カメラトラッキング技術」の連携により、設計データを現実空間へ高精度に重ね合わせることができる拡張現実ソリューション(AR技術)です。
図-56に示すように、出来形管理ヒートマップを現地地形と重ね合わせることで、現場で対象範囲をタブレットに投影しながら視覚的、直感的に全体の出来形品質を把握、検査、確認することが可能になります。これは、これまでの設計データを現況地形と重ね合わせるだけではない、施工管理の更なるデジタル化により、AR活用の可能性が更に高まったと考えております。

図-55 Trimble SiteVisionの仕様

図-56 AR技術を用いた出来形検査の操作画面(例)
現時点で想定されるi-Construction 2.0の展望
ここで、i-Construction 2.0の今後の展望について考えてみます。
第22回ICT導入協議会資料(図-57、図-58参照)によれば、国土交通省が想定する『施工のオートメーション化に関わるロードマップ(案)』から、①ICT 施工は、2025年度まではその段階措置として施工者希望型で行われてきましたが、2026年度(今年度)以降は、発注者指定の範囲が徐々に拡大していくことが想定できます。具体的には、既に2025年度に原則化されていたICT土工、ICT浚渫工(港湾)、ICT浚渫工(河川)はもちろん、新たにICT 舗装工、ICT 地盤改良工が原則化されることが予測されます。
また、個人的に建設現場が着目すべき点として、国土交通省は、ICT施工StageⅡ(前掲図-27)の観点から、2026年度(今年度)以降の直轄土木工事の入札において、総合評価加点として、②施工データの活用を評価項目に含む点です。これに加え、③遠隔施工,④新たな施工技術(チルトローテーター) の活用が進むことも予測されます。

図-57 施工のオートメーション化ロードマップ(案)※43

図-58 ICT施工の原則化※43
さらに、第21回ICT導入協議会資料によれば、図-59に示す『施工データ活用(ICT 施工StageⅡ)の取り組み事例』として、ICT施工の計画最適化・改善と現状把握を繰り返し行い、その結果を分析・反映し、施工データのより一層の活用を図りたいと想定できます。これに加え、活用事例として「施工計画シミュレーション」「ボトルネックの把握・改善」及び「データ集計作業や現地確認作業の軽減」の観点から、その効果を見極めていく方向性が想定できます。

図-59 施工データ活用(ICT施工StageⅡ) 取組事例※43
また、第22回ICT導入協議会資料によれば、図-60に示す『施工データ活用(ICT施工StageⅡ) 普及促進方策』として、前述した「②施工データの活用」について、2026年度(今年度)以降に、施工データ活用に関わる実施要領(案)と参考例示資料集が公開されることが予測されます。

図-60 施工データ活用(ICT施工StageⅡ) 普及促進方策※43
これに加え、同様に図61に示す『施工データ活用(ICT施工StageⅡ)による好循環』として、国土交通省は、ICT施工StageⅡ(前掲図-27)の観点から、i-Construction 2.0が目指す将来像を建設業で見出したいと考えていることが想定できます。なお、この好循環は、私見ですが、地域密着型建設業が抱える課題の解決に直結すると判断します。

図-61 施工データ活用(ICT施工StageⅡ)による好循環※43
近未来に提供する取扱製品(自律施工・自動操舵ICT建機、ロボット)
ここでは、建設現場のオートメーション化に向けた3本柱の1つとしている「①施工のオートメーション化」(前掲図-10を参照)に対する弊社の最新取組を紹介します。
SITECH JAPAN プレミアムショー(近未来ゾーン)」※44※45の概要
(1) テーマ:「とどく、近未来」ICT建機・測量機の進化を通じて、未来の建設現場の姿を紹介。
(2) 現場環境と通信技術
RTK-GNSS補正情報:Trimble IBSS(前掲図-32参照)
通信環境:Wi-Fi6ルーターによるLAN構築
Trimble Connected:複数の移動局が同一プロジェクト内で補正情報を共有可能
(3) デモンストレーション内容
① モーターグレーダ:Komatsu GD405-7
● Trimble Earthworks搭載ディスプレイ:10インチAndroid「TD520」
● ブレードスライド機能:複雑な地形でも高精度施工が可能
● IMUセンサ連携:安定したブレード制御を実現。
② ブルドーザ:Komatsu D37-24
● オートステアリング機能:設計ラインに沿って自動操舵
● ライン作成方法:Trimble Business Centerでポリライン作成
● GNSSローバーによる現場計測(Walkingモード 等)
③ ローラ(BOMAG BW212D-5)
● 自動走行:直線ラインに沿って前後進。
● オーバラップ設定:施工の重複や過転圧を防止。
④ バックホウ(住友 SH200-7)
● 自律施工モデル:無人で掘削作業を実施。
● 遠隔操作対応:専用コントローラや非常停止スイッチを装備。
● 施工内容:深さ1.5mの溝掘削、整地、排土などを自動で実行。
(4) まとめ
● 建設機械のロボット化は今後さらに進展。
● 測位技術・クラウド・ソフトウェアがDX化の基盤。
● 未来の建設現場を支えるパートナーである『Trimble』と『サイテックジャパン』の役割。
※44サイテックジャパンコーポレートサイト
※45Sitech JAPAN Premiere SHOW 2024年08月28日
[まとめ]
本コラムでは、「i-Construction 2.0」で求められる「建設現場のカイゼン」と、これにより求められる対応について考えてみました。
今後「i-Construction 2.0」が順調に進展していくと、建設現場の無人化、省人化が進み、必然的に遠隔地での施工進捗の確認技術が必要になることが想定されます。
これらに対応できるよう、Sオケは延々と拡張し続けるソリューションと位置付けています。さらに、オートメーション化された建設機械(自律施工・自動操舵ICT建設機械)の施工履歴データも、インターネットを介してシームレスに受信し、いつでも、どこでも施工現場の進捗状況を視覚的に確認できるよう機能拡張し続けます。
将来の建設現場は、図-62に示すようなIoTが当たり前になることが想定されます。この「i-Construction 2.0」の実現に向けて、現在の建設現場でも、建設現場に安定した通信環境※46を整えることが、必要条件と考えるべきだと考えます。弊社は、i-Construction 2.0の実現に貢献するSオケ等の建設現場で活躍する「フィールドソリューション」と「オフィスソリューション」をこれからも提供し続けるとともに、i-Construction関連製品のサポートを積極的に行っていきます。
また、弊社では、ICTを推進する建設現場のネットワーク環境設定のお手伝いもさせて頂いておりますので、ご用命の際には、ご相談頂ければと考えます。

図-62 将来のネットワークインフラに求められる主な要求条件※47
※47総務省 総合通信基盤局 電気通信事業部 電気通信技術システム課 青木 裕樹 主査、「将来のネットワークインフラの実現に向けて」、ITUジャーナル Vol. 47 No. 11(2017, 11)pp.25

